伯夷…殷末周初の人。 孤竹国の孤竹君の長子。父君は末子である叔斉を跡継ぎにしたいと思っていた。父が亡くなると、叔斉は長兄である伯夷に王位をすすめたが、伯夷は父の遺志に従い、叔斉が継ぐべきだといって国を離れた。叔斉も王位に就こうとせず、やはり国を離れたので、孤竹国の人々は二人の真ん中の子を君とした。 二人は、周の武王の徳を慕い、武王のもとに身を寄せた。前一〇二八年ごろ、武王は殷の紂王の無道(妲己・酒池肉林・炮烙の刑)を平らげて、天下は周を宗主とするようになった。伯夷と叔斉はこれを強く諌めた。悪逆無道ではあるが、自分の君主である紂王を討った武王に使えるのを恥とし、周の国の粟を食べることを潔しとせず、首陽山に隠れて薇をとり、これを食べていた。そして、とうとう餓死してしまった。